訪問先 / ミズタニバルブ工業株式会社
代表者 / 代表取締役 水谷 直義

23年度第1回経営者訪問先は岐阜県山県市にあります、ミズタニバルブ工業株式会社 代表取締役 水谷直義氏にお話をお伺いしました。 

 山県市の美山周辺は水栓発祥の地としてその名が全国に通っており、現在も水栓機器の全生産量約50%はこの地で生まれております。もともと、名古屋にあった喜多村合金製作所が戦争の空襲の為、美山へ工場を移転したのがきっかけとなり、その当時、林業と養蚕業が主な産業であったこの地で工業が始まり、新しい産業を熱望していた多くの住民が水栓事業を営むようになり現在に至っております。

ミズタニバルブ工業株式会社は昭和26年に直義氏のお父様が水谷製作所として、創業され、同34年、法人化(株式会社 水谷製作所)し、同42年、現在の社名に名称変更され、直義氏で3代目となり現在に至っております。最初は水栓機器の加工業から起業し、今では企画・設計から鋳造、加工、組立まで一貫生産するようになりました。

台所用の蛇口1つにしてもその部品数は多いもので約100を数え、浴室用、台所用、洗面用等々、多種多様な製品を製造しておられます。

顧客の満足度や取引先との共存共栄社員とその家族の幸せを大切にしている水谷社長にとって、「品質と価格と納期」を重要視し、「良いものを、より早く、より安く」を常に社員にも伝え、社業に努められています。

「品質については、機能はあたりまえ、その上で高品質なものを求められる。納期においても、流通の発展に伴い、取引先が在庫をもたなくなるとともに、年々納期が短くなってきている。価格は競争激しい業界において少しでもコストを下げる努力をしている」と話されます。

多種多様な製品を製造しているが、台所用製品1つについても、水谷社長曰く「昔は流し台と蛇口は別で考えられていたものが今ではシステムキッチンが主流となり、機能だけでなく、色、形といったトータルデザインまで社内で企画し、提案していかなくてはならない。そのデザインも昔は10年ごとにモデルチェンジをしていたものが最近では、2~3年でモデルチェンジするようになってきている。技術や品質だけでなくそのような分野までも高いクオリティーを求められてきている」と話されます。

材料についても、「食品衛生法に適合した材料でないと検査が通らない。まず、鉛やカドミウムが検出されるものは使えない。様々な材料を考え、コストを考え作らなければならない。大変なことが多いが、そうして作り上げ、提案した商品が採用された時の喜びは大きいし、やりがいがある」と話されます。

今後についても、「技術の維持・継承はもちろん重要である。作業工程の中で一番重要な部分は鋳物の技術、炉を一人前に使えるようになるには最低3年はかかる。人を育てるにも3Kと呼ばれる業種なだけに、まず人集めから大変だ。製品についても、今のままではダメだ」と明確に話されます。

日々、技術が進歩している業界において、省エネや環境問題に対応した商品開発や異分野にも積極的に進んでいきたいと力強く語ってくださいました。 

 

 ミズタニバルブ工業株式会社

代表者 代表取締役 水谷 直義
商 標 ミズタニ
資本金 3000万円
従業員数 70名
昭和26年9月 名称を水谷製作所と定め、上水道用水栓の専門制作を開始
昭和34年1月 個人企業を法人組織に改め名称を株式会社水谷製作所とする
昭和42年2月 岐阜県知事より優良企業として表彰を受ける
昭和42年3月 社名をミズタニバルブ工業株式会社と改名
昭和47年4月 中小企業合理化モデル工場に指定される
昭和51年1月 株式会社ミヤマ金属工業を設立
平成10年3月 資本金3000万円に増資
平成11年9月 ISO9001認証取得

 

 

   編集後記

今回、水栓機器について全国でも有数な生産地である岐阜県山県市へ行ってきた。
ここは数多くの水栓関係の工場が密集している。しかし、全国シェアの約50%がここで生まれているとは驚かされた。現在、水栓関係業者の多くが中国に進出している。
ミズタニバルブ工業株式会社も同様に中国へと進出している。製品について日本国内においては、品質は良くてあたり前。その上で高機能が求められる。海外では機能重視のため品質において二の次の部分があるという水谷社長のお話を聞くと、あらゆる面で高水準なものを求める日本人に応え続けることによって、日本のものづくりの技術力の高さの維持に繋がっているのだなと思いました。

青年部会 広報委員長:川島 徹郎