平成24年度「税に関する高校生の作文」国税庁長官賞受賞

 国税庁では、本年度も、全国の高等学校のご協力を得て「税に関する高校生の作文」の募集を行いました。
 これは次代を担う高校生の皆さんが、学校教育の中で学習したことや自分自身の経験・体験などを通して、税について考えたことを作文の形で発表していただき、これを機会に税に対する関心を一層深めていただきたいという趣旨で、昭和37年度から毎年実施しているものです。
 本年度は全国1,495校から182,736編の作文が寄せられました。
 名古屋国税局管内では、岐阜高等学校1年の宮本果南さん国税庁長官賞を受賞されましたのでご紹介します。

   
   

【題名】政府と国民の約束
【学校名・学年】岐阜県立岐阜高等学校 1年
【氏名】宮本 果南(かな)さん

 私はこの春、念願の高校に入学できた。心を弾ませ合格者説明会で話を聞いたあと、四月から必要な教材を買ったことを覚えている。その出来事が印象深いのは、教材にかかる費用が想像を超えていたからだ。

 その日、帰宅した私は、中学校で使っていた教科書の整理をしていた。「確か、小学校や中学校では教科書の代金を払っていないはず」と思っていた矢先、ある言葉に目が留まった。それは教科書の裏に書かれている言葉だ。「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待をこめ、国民の税金によって無償で支給されています。大切に使いましょう。」教科書はたくさんの人が私たちの将来に投資する形で配布されていたのだ。この言葉を読んで、日本をつくっていくのは私たちなんだ、というぼんやりとはしているが責任を感じた。

 私たちは普段、税金について考えると、ついつい「お金を取られている」という気分になる。でも実際は、道路や公園、病院、学校など数え切れない数の場所を豊かにしてくれている。そして未来の日本のために、税が使われている。税によって豊かな生活ができることにもっと感謝すべきではないだろうか。感謝の心を持てれば「お金を取られている」という感覚も減るのではないだろうか。

 私は、教科書という形で税金のありがたみが良く分かった。私が目標としていた高校に入学することも、こうやって文章を書くことも、全て、教科書なしではできなかった。そう考えると、税金のない世界は怖くて仕方がない。国のたくさんの人の協力で、私はここまで成長できた。次は私の番だ。私もしっかり税を払い、多くの人の助けになりたいと思う。

 最後に、もう一つ宣言したいことがある。それは、日本人という名に恥じない人間になるということだ。福澤諭吉は学問のすゝめの中で、税についてこう述べている。

「これ即ち政府と人民の約束なり。」

 これは、私たち国民がお金を払うかわりに、政府はよりよい国づくりをするという約束だろう。しかし、別の捉え方もできる。国民から集めた税金を教科書という形で政府が届けてくれたのなら、私たちは国を担っていく人間であることを自覚しなくてはならないのではないか。それも政府と私たちの約束だ。税金の意義を考え、社会貢献していける立場であり続けたいと私は思う。